先に答えを書きます。不動産クラウドファンディングを見るときに最初に確かめるのは、利回りではなく「配当の原資がどこから来るか」です。物件を売った代金なのか、企業への融資の利息なのか、それとも物件を持ち続けて受け取る家賃なのか。CONDO(コンド)は3つめで、公式に「原則として売却は視野に入れず、保有による賃料収入を配当原資とする」と書かれています。原資が家賃なら、次に確かめるのは物件ではなくその家賃を払う相手のほうです。ここがこのサービスのいちばん特徴的なところでした。
これまでこのブログで見てきた3つを並べると、配当の出どころが全部違います。
| サービス | 型 | 配当の原資 |
|---|---|---|
| COMMOSUS | 融資型(貸付型) | 企業等への融資が返済されたときの元本と利息 |
| TASUKI FUNDS | 不動産投資型 | 不動産の運用による収益(開発・売却を含む) |
| CONDO | 不動産投資型 | 物件を保有して受け取る賃料収入 |
(各社の公式サイトの表示より。2026年9月23日時点)
同じ「不動産投資型」でも、TASUKI FUNDSとCONDOで中身が違います。売って利益を出す前提なのか、持ち続けて家賃を受け取る前提なのか。心配する対象がまるごと入れ替わるんですよね。売る前提なら「売れるか・いくらで売れるか」、持つ前提なら「入居者がいるか・家賃が入り続けるか」。
白状すると、私も最初のうちは全部「不動産のやつ」でまとめていました。ChatGPTに『不動産クラファンって何を見ればいいの?』と聞いて、返ってきた「利回りと運用期間とリスク」という一般論で分かった気になっていたんです。原資まで見に行くようになったのは、サービスごとに説明の力点がぜんぜん違うことに気づいてからでした。
まず公式の説明を、そのまま引きます。
はっきり書いてあります。そしてすぐ下に注記が付いているのも、いつもどおり見落とせないところです。
つまり「原則として」賃料、ただし一部のファンドは売却益が主な原資になることがある、という書き方です。この2行はセットで読む必要があります。上の行だけ覚えて進むと、自分が申し込んだファンドがどちらなのか確かめないままになります。大きい数字と小さい文字はいつもセットで置いてあるという話を以前書きましたが、ここも同じ形でした。
原資が家賃だと分かったら、次は誰が払う家賃なのかです。高齢者向け施設の賃料を払うのは、そこで施設を運営している事業者になります。
ここでCONDOの説明を読むと、構造がはっきり書かれていました。
そして、強みの説明としてこう続きます。
整理すると、投資家からお金を集める側と、施設を運営して家賃を払う側が、同じグループの中にいるという構造です。公式はこれを強みとして説明しています。現場の入居ニーズを把握していて、賃料や保証の設計まで自分たちで決められるから、空室リスクを抑えた計画が描ける、と。
読む側としては、メリットと確認事項が同じ1文から出てくると受け取るのが正確だと思っています。運営を自分たちでコントロールできるということは、家賃の水準を決める側にも自分たちがいるということでもある。どちらが良い悪いではなく、賃料がどう決まっているかを自分で確かめる項目が1つ増える、という話です。
その確認材料として公式が挙げているのが、3つめの強みでした。
第三者の鑑定評価が付くかどうかは、身内で完結していないことを示す材料になります。各ファンドで実際に評価書が開示されているかは、ファンドの詳細ページで見る項目です。ここは一般論では決まらないので、申し込む前に自分でページを開くことになります。
空室リスクを抑えられる根拠として、公式は具体的な規模を挙げています。
「約4,000〜5,000施設」と幅で書かれています。幅のある数字は、幅のまま受け取るのが正確です。5,000と読んで期待値にすると、下端の4,000が見えなくなる。これは利回りの幅を読むときと同じ癖ですね。
あと、この数字が指しているのはネットワークの規模であって、ファンドの対象物件の数ではありません。主語が何かを読むと、範囲が決まります。
2026年9月23日時点で公式サイトに出ていたファンドを、表示のまま書き出します。
| ファンド名(公式表記) | 状態 | 予定分配率(年利) | 予定運用期間 | 募集額 |
|---|---|---|---|---|
| 仙台市つばさ南小泉 スタンダードレール | まもなく募集開始 | 8.1% | 6ヶ月 | 126,000,000 円 |
| 札幌市つばさ北20条 スタンダードレール | 募集中(募集率90%) | 10.2% | 6ヶ月 | 213,000,000 円 |
| 仙台市つばさ南小泉 ミドルレール | 運用中(募集率152%) | 8.1% | 3ヶ月 | 126,000,000 円 |
(CONDO 公式サイトのトップページに掲載されていた3本。2026年9月23日時点の表示)
3本とも「インカム型」「抽選方式」「匿名組合」「再投資」の4つのラベルが付いていました。名前の末尾にある「スタンダードレール」「ミドルレール」は運用期間の違いのようで、前者が6ヶ月、後者が3ヶ月になっています。独自の呼び方なので、意味はファンドの詳細ページで確かめる項目です。似た言葉を知っているとつい自分の理解で読んでしまうんですが、それをやると公式が書いていないことを自分で足すことになるんですよね。
募集率152%という行にも目が止まりました。募集額を応募額が上回った状態で、だから抽選方式なんだと読めます。申し込めば必ず入れるわけではない、ということでもあります。
運営会社の許可は、公式サイトのフッターに書かれています。
ここで大事なのは番号そのものより、出し手が誰かです。「神奈川県知事」と書いてあるので、照会に行く先は神奈川県になります。TASUKI FUNDSの記事で見たときは「金融庁長官・国土交通大臣」の連名で、こちらは県知事。どちらが上ということではなく、事業の区域や規模によって許可の出し手が変わります。FXの業者を調べるときのように財務局の一覧だけを見ても、この番号は出てきません。
最後に、原資が家賃だという話に戻ります。
売却益が原資なら、気にするのは「売れるか、いくらで売れるか」の一点です。家賃が原資だと、気にするところが毎月続くかどうかに変わります。入居者が減る、施設の運営体制が変わる、賃料が見直される——どれも一度きりの出来事ではなく、運用期間のあいだ続く条件です。
なので私は、この型のファンドでは配当が止まる経路のほうを先に読むようにしています。うまくいったときの説明は、たいてい読まなくても想像がつくので。CONDOの場合、空室リスクへの答えとして公式が挙げているのがグループのネットワークと紹介ルート、透明性の答えが不動産鑑定評価書でした。その2つが自分の申し込むファンドで実際に示されているかは、詳細ページを開かないと分かりません。
運用期間は3ヶ月から6ヶ月。その間は資金が動かせないので、何ヶ月分なら手をつけずにいられるかを先に出しておくと、利回りの比較はそのあとで足ります。
利回りを見る前に原資を見る。原資が家賃なら、その家賃を払う相手まで見る。遠回りに見えて、結局ここがいちばん早い確認でした。