先に答えを書きます。融資型(貸付型)クラウドファンディングのサイトで大きく出ている数字は、すぐ下の小さい文字まで読まないと意味が決まりません。COMMOSUS(コモサス)のトップページなら、予定利回り4.2〜11.0%には「2022年9月1日から2026年5月20日までに募集を行ったファンドの税引前の年率」という注記が、元本償還率100%には「2026年5月20日までに募集を行ったファンドの実績」という注記が付いています。どちらも過去に集計された範囲の話。これから申し込む1本の約束ではありません。そして私がいちばん効くと思ったのは利回りではなく、保有期間中は原則として解約できない、という一行のほうでした。
まず商品の中身から。COMMOSUSを運営する株式会社コモサスは第二種金融商品取引業者で、登録番号は関東財務局長(金商)第2973号です。加入している協会は第二種金融商品取引業協会で、指定紛争解決機関は証券・金融商品あっせん相談センターです。所在地は東京都中央区日本橋茅場町2-1-1と公表されています。
投資家のお金は、値動きする資産を買うのではなく、融資の原資として企業に渡ります。戻ってくるのは元本と利息。ここが最初の分かれ目です。値上がり益を取りにいく商品ではないぶん、見るべき数字も変わります。
白状すると、私が最初にこの種のサイトを開いたとき、目に入ったのは大きい数字だけでした。利回り何%、償還率何%。ChatGPTに『この利回りって何を意味してるの?』と聞いて、返ってきた一般論で分かった気になって、そのまま閉じたんですよね。小さい文字を自分で読み直したのは、だいぶあとになってからです。
注記まで読むと、対象も期間もはっきり書いてあります。年率で、税引前。集計のもとになっているのは、2022年9月1日から2026年5月20日までに募集されたファンドです。
押さえるべきは3点。年率であること。税引前であること。そして約3年8か月ぶんの実績の範囲だということ。同じページに並ぶ最低投資金額1万円にも、ファンドにより1万円より高く設定される場合がある、という注記が付いています。
| 大きく出ている数字 | すぐ下にある注記 | 読み替えると |
|---|---|---|
| 予定利回り 4.2〜11.0% | 2022年9月1日から2026年5月20日までに募集を行ったファンドの税引前の年率/利回りは保証されているものではない | 過去に募集された各ファンドの予定値の幅。税引前かつ年率 |
| 元本償還率 100% | 2026年5月20日までに募集を行ったファンドの実績 | 集計が終わった過去のファンドの結果。将来の約束ではない |
| 最低投資金額 1万円 | ファンドにより最低投資金額が1万円より高く設定される場合がある | 入口の下限であって、全ファンド共通の金額ではない |
4.2から11.0まで幅があるのも、平均をならした数字ではなく、個々のファンドの予定利回りが並んでいるからです。上限の11.0%だけを見て期待値にすると、たぶん外れます。
元本償還率100%のほうにも、同じ形で期間の注記が付いています。
実績という言葉のとおり、集計が締まった過去の話です。
100%という数字は強い。強いからこそ、期間の区切りが効いてきます。
公式の同じページには、取扱うファンドへの投資は元本および収益分配が保証されたものではなく、損失が生じる場合がある、とも明記されています。100%という実績と、保証はないという記載。この2つは同じサイトの中に同居しています。矛盾ではありません。片方は過去の集計で、もう片方はこれから結ぶ契約の条件だからです。
私が積立を始めたときに最初に決めたのも、置き場所より先に「いつまで動かさなくていいお金か」でした。給与口座をメガバンクのまま何年も放置していた人間が言うのも変ですが、期限のあるお金と、期限のないお金を混ぜない。これだけは効きます。
もう1つ、入口側の話も。募集期間が終わった時点で最低成立金額に到達しなかった場合、そのファンドは不成立となり、応募額は返金されます。始まらないこともある、という前提です。
会員登録・口座開設・口座維持に手数料は発生いたしません。
出金の振込手数料は毎月1回まで無料となり、同月2回目以降は、出金ごとに770円(税込)の事務手数料をいただきます。
COMMOSUS「手数料およびリスクについて」
| 費用の項目 | 公式の表示 | 誰がいつ負担するか |
|---|---|---|
| 会員登録・口座開設・口座維持 | 手数料は発生しない | 入口ではかからない |
| 運用期間中に直接負担する手数料 | 発生しない | 請求書の形では届かない |
| 各ファンド所定の手数料・運営費用 | ファンドの保有を通じて間接的に負担/ファンドによって異なるため表示できない | 保有している間、見えない形で乗る |
| 入金の振込手数料 | 投資家の負担 | 入金のたび |
| 出金の振込手数料 | 毎月1回まで無料。同月2回目以降は770円(税込) | 同じ月に2回以上出すとき |
目を引くのは3行目です。ファンドごとに違うから表示できない、と公式が書いている。つまり予定利回りの数字が、その間接負担のあとの値なのか前の値なのかは、トップページだけでは決まりません。ここはファンドの詳細ページ、匿名組合契約約款、重要事項説明書を開いて確かめる場所です。公式もそう案内しています。
出金770円は小さく見えるかもしれません。ただ私は、預け先を変えるだけで年間数千円が動いた経験がある人間なので、月2回目からの770円は普通に気になりました。分配が届くたびに引き出すつもりなら、回数×770円が地味に積もります。
投資家が保有するのは匿名組合の出資持分です。公式には金融商品取引法第2条第2項第5号と根拠条文まで書かれています。株式でも投資信託でもない。立ち位置はここで決まります。
そして、万が一ファンドに損失が発生した場合でも投資額以上の損失を被ることはない、とも明記されています。FXの証拠金取引はどうか。相場の急変しだいで、預けた額を超えて損失が膨らむことがあります。そこは構造が違う。ただし投資額以上に減らないことと、元本が減らないことは別の話です。
FXと投資信託・新NISAの立ち位置の違いはFXと新NISA・投資信託の違いと使い分けに、制度の枠の中で積み立てる話は新NISA vs iDeCo vs 定期預金 完全比較のほうに整理しました。
私がやっている順番です。5分あれば終わります。
| 見る場所 | 確かめること | 見つからなかったら |
|---|---|---|
| トップの数字の脇 | ※1・※2などの注記。集計の期間と対象、年率か、税引前か | 期間の記載がない数字は使わない |
| 手数料およびリスクについて | 直接の手数料と、間接的に負担する費用。出金の回数と金額 | 記載が見当たらなければ問い合わせる |
| 会社概要の登録番号 | 第二種金融商品取引業者としての登録番号と加入協会 | 金融庁の事業者一覧で名称と番号を照合する |
| ファンドの詳細ページ | 運用期間、最低成立金額、予定利回り、担保や保証の有無 | 匿名組合契約約款と重要事項説明書まで開く |
| 口座開設の流れ | 本人確認(eKYC)と審査。公式では最短1営業日で完了 | 締切のあるファンドなら日程に余裕を見る |
3行目の照合のやり方はそのFX会社、金融庁に登録ある?確認手順に手順を書いています。FX会社向けに書いた記事ですが、金融庁の事業者一覧を引く流れはそのまま使えます。
私は制度の枠の中を先に埋める派です。つみたての自動積立は放置したまま。それでいいと思っています。新NISAの配当の受取方式を最初に見落としていたくらいなので、手数を増やすほど雑になる自覚もあります。
そのうえで枠の外を見るときの条件は3つに絞りました。償還まで動かさなくていいお金であること。数字の注記を自分で読んだこと。事業者の登録番号を照合したこと。この3つが揃わない日は、申し込みボタンの手前で止まります。
大きい数字に目を奪われて足元を確かめ損ねるのは、私がいちばんやりがちな失敗でもあります。似たつまずきは初心者が陥りがちな投資の罠にまとめました。増やす話に進む前に、条件のほうを読む。順番としてはそこが先なんですよね。