先に答えを書きます。同じ「クラウドファンディング」という名前でも、不動産投資型と融資型では根拠になる制度が違います。TASUKI FUNDS(タスキファンズ)は不動産投資型で、公式に示されている許可は不動産特定共同事業許可番号 金融庁長官・国土交通大臣第99号。以前この記事で取り上げたCOMMOSUSは融資型で、そちらは第二種金融商品取引業の登録番号でした。許可の種類が違うということは、お金が何に使われるかが違うということです。そしてもうひとつ、私が自分ごととして効いたのは利回りではなく、分配金が雑所得になるという一行のほうでした。
まず言葉の整理から。ネットで少額から投資できるサービスをまとめてクラウドファンディングと呼びますが、中身は少なくとも2つに分かれます。
| 不動産投資型 | 融資型(貸付型) | |
|---|---|---|
| 集めたお金の行き先 | 不動産の取得・運用 | 企業等への融資 |
| 投資家が受け取るもの | 不動産の運用による収益の分配 | 返済された元本と利息の償還・分配 |
| 事業者が示す許可・登録 | 不動産特定共同事業の許可 | 第二種金融商品取引業の登録 |
| 今回の例 | TASUKI FUNDS(金融庁長官・国土交通大臣第99号) | COMMOSUS(関東財務局長(金商)第2973号) |
(各社の公式サイトの表示より。2026年9月22日時点)
お金の行き先が違えば、うまくいかないときの理由も違います。不動産投資型は物件が売れない・想定した賃料が入らないという形で、融資型は融資先が返せないという形で効いてくる。同じ「元本割れの可能性がある」でも、心配する対象が別なんですよね。
白状すると、私も最初は全部まとめて「ネットのやつ」で処理していました。ChatGPTに『不動産クラファンと融資型って何が違うの?』と聞いて一般論をもらったところで止めていて、自分が見ているサイトがどっちなのかを確かめたのは、だいぶあとです。確かめる場所は決まっていて、ページの一番下、会社情報のところでした。
公式サイトのフッターに並んでいる表記を、そのまま引きます。
番号が並んでいて最初は面食らいますが、押さえるべきは2点です。
ひとつ目。不動産特定共同事業の許可が、この商品の土台です。出し手が「金融庁長官・国土交通大臣」の連名になっているのは、不動産と金融の両方にまたがる制度だからです。国土交通大臣の名前が出てくる時点で、これは不動産の話だと分かります。
ふたつ目。同じ会社が第二種金融商品取引業の登録も持っています(関東財務局長(金商)第3323号)。会社が複数の登録を持っていること自体はよくあることで、いま自分が見ている商品がどの許可のもとで提供されているかは、商品側の説明で確認する必要があります。
あと、サービスの立ち位置についても公式に書かれています。「TASUKI FUNDS(タスキファンズ)は東証上場企業である株式会社タスキホールディングスのグループ会社が運営する不動産投資型クラウドファンディングサービスです。」——上場企業のグループであることと、個々のファンドが無事に終わることは別の話ですが、運営主体を確かめる材料にはなります。
最低投資金額は公式に「1口10万円の少額から投資ができ」と書かれています。2026年9月22日時点でサイトに出ていたファンドを並べると、こうなっていました。
| ファンド名(公式表記) | 一口出資金額 | 想定運用期間 | 予定分配率 |
|---|---|---|---|
| タスキ キャピタル重視型 第20号ファンド-Series3 | 10万円 / 460口 | 5ヶ月 | 4.5% |
| タスキ キャピタル重視型 第20号ファンド-Series2 | 10万円 / 460口 | 7ヶ月 | 5.0% |
| タスキ キャピタル重視型 第20号ファンド-Series1 | 10万円 / 460口 | 8ヶ月 | 5.0% |
(TASUKI FUNDS 公式サイトの表示より。2026年9月22日時点)
ここで手が止まりました。10万円は「少額」と書いてあるけれど、1万円から始められるサービスと並べると、最初の一歩の重さが10倍違うんですよね。1万円なら試しに入れてみるかで済みますが、10万円は生活の側と相談する額です。
低レバ・少額でFXをやっている人ほど、ここは比較しておく価値があります。資金管理の記事でも書いたとおり、置ける額を先に決めてから商品を見るほうが、順番として楽です。逆にすると、商品の下限に自分の予算を合わせにいくことになります。
商品性についても公式に説明があります。「1口10万円からの投資が可能。また、優先劣後構造の採用によりミドルリスク・ミドルリターンでの投資商品を実現。」——優先劣後構造という言葉が出てきますが、これは元本割れしないという意味ではありません。公式のよくあるご質問には、別のところにこう書かれています。
同じサイトの中に、魅力の説明とリスクの説明が両方置いてあります。私は両方をセットで読むようにしています。片方だけ持ち帰ると、あとで話が合わなくなるので。
ここが今回いちばん自分ごとだった部分です。公式のよくあるご質問から引きます。
FXの利益は申告分離課税で、税率は一律です。いっぽうこちらは総合課税の雑所得。給与などと合算して税率が決まる形なので、扱いがまったく違います。
| FX(店頭・取引所) | 不動産投資型クラファンの分配金 | |
|---|---|---|
| 所得の区分 | 先物取引に係る雑所得等(申告分離課税) | 雑所得(総合課税) |
| 他の所得との関係 | 分離して計算 | 給与所得などと合算 |
| 公式が示す申告の目安 | — | 1年間の雑所得合計が20万円を超えた方は確定申告が必要(TASUKI FUNDS公式の記載) |
同じ「雑所得」という言葉が出てくるので混ざりやすいのですが、FXのほうは分離、こちらは総合。言葉が似ているだけで、計算の場所が違います。FXの税金まわりはFXの税金と確定申告の記事に整理してあるので、あわせて読むと違いが見えると思います。
それと、公務員・会社員の方が気にする副業のラインとは別の話です。ここは公務員の副業禁止とFXの境界線で扱っています。申告が必要かどうかと、勤務先の規程の話は、分けて考えたほうが混乱しません。個別の判断は税務署や勤務先の規程が正になります。
申し込みの前提として、対象外になる条件も公式に書かれています。
本人確認ハガキの受領がある、というのは手続きの時間に効きます。オンラインで完結するサービスと比べると、郵便が1往復ぶん挟まる。急いで始めたい人はここで待つことになります。
FXの口座開設だとオンラインの本人確認で即日〜翌営業日というところも増えましたが、サービスごとに方式が違うので、同じ「ネットで完結」でも郵送が挟まるかどうかは個別に確認する項目です。私はここを読み飛ばして、ハガキを待つ数日を予定に入れ忘れたことがあります。
公式のよくあるご質問に、REITとの比較が載っていました。これは読みどころだったので引用します。
整理すると、価格が動かない代わりに、途中で手放せないということです。毎日値段を見て一喜一憂しなくていいのは、安定志向の人には向いている面があります。ただ裏を返せば、資金が必要になっても運用期間が終わるまで動かせない。
FXの建玉なら、その日のうちに決済して現金に戻せます。どちらが良いという話ではなく、「いつでも動かせる財布」と「しばらく動かせない財布」を分けて持つという発想になると思います。私は、FXの証拠金とこの種の資金は、そもそも別の財布として数えるようにしました。
数字を比べる前に、その商品がどの制度の上に乗っているかを見る。遠回りに見えて、結局ここがいちばん早い確認でした。