先に答えを書きます。自動売買サービスのランキングに並ぶ成績は、実際の売買記録ではなく過去の試算結果です。フジトミ証券のシストレセレクト365なら、各ストラテジーの運用成績は売買サイン生成時の価格及び時間をもとに算出したもので、実際の約定価格・時間とは異なる場合がある、と重要事項に書かれています。スワップポイントも加味されていません。さらに費用は2階建てで、売買手数料0円・サービス利用料金は初回のみ税込990円ですが、発注が通るくりっく365口座には取引コース所定の手数料が別にあります。今日はこの2つを、公式の文言のまま確かめます。
前提を1つだけ置きます。シストレセレクト365は、東京金融取引所に上場するくりっく365を対象とした投資助言サービスです。付随機能の「自動売買管理サービス」が、利用者がフジトミ証券に開設するくりっく365口座を使って発注します。運営はフジトミ証券株式会社、関東財務局長(金商)第1614号。
そのうえで本題。画面にはストラテジーがキャラクターの形で並び、成績のランキングが出ます。複数のストラテジーを同時に稼働させることもできます。選ぶ材料は、ほぼこの成績です。だからこの数字がどう作られたのかを先に知りたい。
つまり成績は、「このタイミングでサインが出た。そのときの価格で計算した」という試算です。誰かがその値段で本当に売買した記録ではありません。ランキング画面と詳細画面のパフォーマンスについても、あくまでも過去の試算結果だと明記されています。
順位のついた表を見ると、私はまず上から読んでしまいます。ストラテジーがキャラクターの形で並んで、その横に成績が出ていれば、なおさら。シストレセレクト365で言えば、その順位は4通貨ペアぶんのストラテジーの中でついた順位です。順位より先に、その数字が何を測ったものなのかを確かめる。今回はそこだけを決めて公式を開きました。
このブログで書いてきたのは、条件を分解してから決めるという順番でした。自動売買はその順番がいちばん崩れやすいところだと思っています。動かしはじめたら判断を機械に渡すぶん、渡す前に読む量を増やすしかない。読む場所は、成績の但し書きと費用の欄。この記事はその2つに絞ります。
ずれる場所は、公式の記載から拾うと2つあります。
1つは価格と時間。サインが出た瞬間の価格で計算された成績と、実際に注文が通った価格は同じとは限りません。もう1つが利用者ごとの事情です。公式の記載はこうです。自動売買管理サービスを利用して発注した場合、ストラテジーの利用者の状況により発注タイミングが異なる場合等がある。だから約定時間や約定価格等も異なる場合がある、と。
同じストラテジーを同じ日に動かしても、人によって結果が違うということ。ランキングの数字は「うまくいったときの上限」に近い位置にあると考えたほうが、あとで驚かずに済みます。
成績は将来の運用成果を保証するものではなく、相場の状況によっては過去の運用成績を大きく下回るおそれがある、とも明記されています。ここは太字で受け取っておきたいところです。
ストラテジーの運用成績には、スワップポイントは加味されておりません。
フジトミ証券「シストレセレクト365の重要事項」
一行ですが、効きます。スワップポイントは持つ方向と期間しだいで受け取りにも支払いにも回るので、成績に入っていない項目が、自分の口座では日々動くことになります。ポジションを長く持つ設計のストラテジーほど、差は開きやすい。
スワップポイントとスプレッドの基本はスプレッドとスワップポイントとは?取引コストの基本に整理しました。成績表に「入っているもの」と「入っていないもの」を並べると、こうなります。
| 項目 | 公式の記載 | 自分の損益との関係 |
|---|---|---|
| 成績の算出根拠 | 売買サイン生成時の価格及び時間をもとに算出 | 実際の約定価格・時間と異なる場合がある |
| スワップポイント | 加味されていない | 保有の方向と期間により、受け取りにも支払いにもなる |
| ランキング・詳細画面の数値 | あくまでも過去の試算結果 | 将来の成果を保証せず、大きく下回るおそれがある |
| 利用者ごとの発注タイミング | 利用者の状況により異なる場合がある | 同じストラテジーでも約定時間・価格が変わる |
売買の判断は、各ストラテジー画面に表示されているテクニカル指標によって機械的に下されます。ただし公式の重要事項には、こう添えられている。利用しているテクニカル指標のパラメータ等の詳細は公表しておりません、と。
指標の名前は分かる。設定値は分からない。だとすると利用者が比べられるのは、結局のところ表示された成績と、指標の種類くらいです。中身を理解して選ぶのではなく、実績の見え方で選ぶ構造になっている、と受け止めました。
これは良し悪しの話ではありません。選択型の自動売買はだいたいそういう作りです。ただ、ブラックボックスを承知で選ぶのと、分かったつもりで選ぶのは、あとで結果を受け止めるときの落差が違います。
採用の基準についても記載があります。ストラテジーはインサンプルテストおよびアウトオブサンプルテストによるバックテストの結果を基に採用される、という説明です。聞き慣れない言葉ですが、公式が脚注で定義してくれています。
調整に使ったデータで良い成績が出るのは、当たり前といえば当たり前。だから別のデータでも通用するかを確かめる、という2段構えです。そこまでやってなお「将来の成果は保証しない」と書いてあるところに、この手の数字の限界が出ています。
自動売買そのものの分類や共通の落とし穴はFX自動売買(システムトレード)の基礎と注意点にまとめました。あちらが一般論で、この記事は成績表示とコストという2点の各論、という役割分担です。
費用の話に移ります。公式の案内はシンプルです。シストレセレクト365は売買手数料0円、サービス利用料金は初回のみ税込990円。重要事項の費用欄でも「助言報酬:990円(税込)初回のみ」と書かれています。
ただし同じページに、取引コース所定の手数料については別に参照するよう案内があります。発注が通るのは自分のくりっく365口座なので、そちらの手数料は別勘定ということです。
しかも性格が違います。初回990円(税込)は一度きり。くりっく365口座側の手数料は、注文が成立するたびにかかります。同社サイトの注記では、くりっく365の通常銘柄で1枚あたり最大1,100円(税込)と示されています。同じ注記に併記されているのは、くりっく365のラージ銘柄で1枚あたり最大11,000円(税込)、くりっく株365で1枚あたり最大4,400円(税込)という数字。
| どこで発生するか | 項目 | 公式の表示 |
|---|---|---|
| シストレセレクト365(1階) | 売買手数料 | 0円 |
| シストレセレクト365(1階) | サービス利用料金(助言報酬) | 初回のみ990円(税込) |
| くりっく365口座(2階) | 取引コース所定の手数料 | 同社サイトの注記では、くりっく365の通常銘柄で1枚あたり最大1,100円(税込) |
| (参考)同じ注記の他の銘柄 | 取引コース所定の手数料 | くりっく365のラージ銘柄は1枚あたり最大11,000円(税込)、くりっく株365は1枚あたり最大4,400円(税込) |
1枚あたり最大1,100円という金額は、手数料の上限として同社サイトに示されているものです。実際にいくらになるかは取引口座の内容や銘柄によって異なる、とも書かれています。初回990円だけを見て「かかるのはこれだけ」と読むと、足し算が1段抜ける——ここが今回いちばん伝えたかったところです。
取扱いは流動性が多い4通貨ペアに絞られています。米ドル/円、ユーロ/円、英ポンド/円、豪ドル/円。
| 通貨ペア | 公式のコメント |
|---|---|
| 米ドル/円(USD/JPY) | 流動性が多い4通貨ペアの1つとして取扱い |
| ユーロ/円(EUR/JPY) | 同上 |
| 英ポンド/円(GBP/JPY) | 非常にボラティリティが高く、価格変動が大きい分、高度なリスク管理が求められる通貨ペアとされている |
| 豪ドル/円(AUD/JPY) | 石炭・原油・天然ガスなどの資源価格や中国経済の動向に左右されることが多い |
4つという数は、選べる範囲が狭いという事実です。狭さは分かりやすさでもある。ただ、成績上位のストラテジーが英ポンド/円のものだった場合、その値動きの荒さごと引き受けることになります。ランキングの順位は、通貨ペアの性格までは教えてくれません。
動き続ける前提で選んでも、止まる条件のほうは重要事項に書かれています。回線の切断や価格配信の停止で注文がエラーになった場合、稼働していたストラテジーは稼働停止となり、再発注は行われない。建玉を保有しているときに、手動やロスカットなど売買サイン以外の決済注文が出た場合も、同じく稼働停止です。
自分で決済に手を出すと、その時点で止まる。含み損に耐えられずに手動で切ったら、以後は再発注されないということ。放置する前提の仕組みに人の手が入ると、設計のほうが崩れます。条件の全文は申し込みの前に重要事項で確認してください。
もう1つ、複数稼働そのものの注意も重要事項にあります。複数のストラテジーで同じ銘柄を稼働させると、両建てになることがある。1つのストラテジーを複数枚稼働させるよりリスクを分散させる効果も期待できますが、相場の状況によっては想定以上の損失となる場合もある、と書かれています。
6番目のやり方はそのFX会社、金融庁に登録ある?確認手順に手順を書きました。名称と登録番号の両方が一致しているかを見る、それだけです。私がここまでの数字を公式ページで確かめたのは2026年8月27日で、フジトミ証券のサイトの表示はその時点のもの。条件は変わります。